Advanced Industrial and Engineering Polymer Research
Open Access, CiteScore Tracker 2021=11.4
ISSN: 2542-5048
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OPEN ACCESS – EDITORIAL
Volume 4, Issue 2 Pages 49
April 2021
ポリマーサイエンス分野のStoyko Fakirov教授
Klaus Friedrich, Ming Qiu Zhang

Stoyko Fakirov教授は哲学博士、理科博士、Dhcで、1936年1月、ブルガリアのバルカン山脈の山麓にある小さな村に生まれた。彼は地元の小学校に通った後、近くの小さな町の中学校に通っていた。1959年、ソフィア大学(ブルガリア)で化学専攻の理科修士号を取得し、すぐに助教授に任用された。二年後、彼はモスクワのロモノソフ国立大学(ロシア)で博士号を取得するために勉強していた。1987年にはソフィア大学ポリマー化学専攻正教授に指名された。現在、彼はニュージーランドのオークランド大学機械工学科で名誉学者を務めている。彼はポリマーサイエンス分野で世界中に名を馳せる。グーグル学術検索で表示したように、彼は8000回以上引用され、H指数は48で、「ポリマー複合体」という課題での世界ランキングは21位である。Stoyko教授は、350点以上の出版物を所有しており、うち、220点は「科学ネットワーク」のデータベースに収録されている。彼はWiley、Springer、Hanser、ケンブリッジ大学出版社などと連携してポリマーに関する著書を16冊執筆した(うち、編集された書籍は1000ページもある)。彼の書目には『エンジニアのポリマーサイエンスの基礎』という教材(Wiley-VCH、2017年)も含まれており、その中に25章が含まれている。彼は米国特許を9件取得し、招きに応じて世界中で120以上のセミナーを開催した。また、16の国際的なポリマー専門誌の編集委員も務めている。

彼がポリマーサイエンスに対する重要な貢献には、「化学的治癒」、「化学的放出拡散」、「縮合共ポリマーの順番変更」と「同じ種類のポリマーガラスの転化温度より低い時のポリマー結晶体の溶解」などの現象についての陳述、証明と命名が含まれる。Stoyko氏はさらに、「Fakirov等式」と呼ばれる等式を導き、「マイクロフィブリル化複合体(MFC)」と呼ばれる新しいポリマー複合体を創出し、そしてそれをさらにナノフィブリル化モノポリマー複合体を含む「ナノフィラメント化複合体(NFC)」に開発し、「添加の代わりに転化する概念」(あらゆる本体ポリマーをナノレベルの材料に転化する技術)を陳述し、そして証明した。

20世紀80年代、彼はアレクサンダーフォン・フンボルト学者になり、2000年に、ドイツの最も有名な科学成就賞である「アレクサンダー・フォン・フンボルト賞」を受賞した。先端材料科学技術分野における優れた貢献により、彼は国際先端材料協会(IAAM)から2017年の年度メダルを授与された。2018年、彼はブルガリア「ソフィア大学名誉博士」号を取得した。

Stoyko Fakirov教授は現在も研究に積極的に身を投じており、かつ2021119日に85歳の誕生日を迎えた後も確実に研究を続けていく。従って、我々は彼の誕生日を祝賀すると同時に、彼の健康を祈り、引き続きポリマーサイエンスの分野でより長く奮闘し、そして釣りという趣味の中で幸運を共にすることを願う。

https://doi.org/10.1016/j.aiepr.2021.04.001
OPEN ACCESS – EDITORIAL
Volume 4, Issue 2 Pages 50-51
April 2021
社説:ポリマー回収
Stoyko Fakirov

70-80年前、合成ポリマーの最初のロットが市場に投入された時、「人工」(ヨーロッパ)または「人造」(アメリカ合衆国)材料と名付けられ、「天然」材料ではないという事実、つまり、同様に優れた性質を持っていないことが強調された。その後何年もかけて徐々に発見された結果として、それらの用途はますます広くなっており、過去数十年の間に極めて大きな規模の応用が実現され、かつ他の材料にも取って代わられないことも多い。これは木材、金属、セラミックス、ガラスといった従来の材料に比べ、合成ポリマーは材料としてのメリットが大きいからである。それらは非常に軽く(密度は約1以下ある)、非常に加工しやすく(通常、複雑な形のものを一気に作ることができる)、全体に着色する無限のチャンスがあり、かつ環境や大気要素に対する耐化学性があるため、使用にあたって環境にも無害である。この面において、合成材料は他のすべての材料に勝っている。不思議なことに、プラスチック材料のこの内在する長所は廃棄物或はゴミになる時に最も大きな短所になる。つまり、金属のように酸化しないだけではなく、セルロースと蛋白質基材料のように化学分解も発生しない。

人々は化学者に対し、大量生産が可能な生分解性プラスチックを作り出すことを期待しているが、このような期待は空想にすぎない。この面の少数例は、経済的に実現可能ではない。EUは最近、10種類の使い捨てプラスチック製品の製造を禁止することを決定した。これは、これらが海洋ゴミの主な成分であることを証明した。EUの加盟国は27か国から構成され、その一部の国は世界中の工業科学先進国に属しているが、主なプラスチックゴミを作り出す包装製品の生産を大幅に減らす方法以外に、より良い解決策を提供できない。これは、プラスチックごみを生み出すネガティブな環境問題の解決は、科学者だけの課題ではなく、社会全体の課題でもあることをさらに意味する。プラスチックゴミを適切に回収する方法の教育を行わなければならない。また、新プラスチックと再生プラスチックの価格差額が小さく、再生産業は利益をもたらす産業ではないため、各国政府は、再生産業に対する財政的支援をしなければならない。

新規合成ポリマーの数を減らそうとする試みは、その需要が増え続いているため、適切な解決策にならない。例えば、ペットボトルの生産におけるPET (ポリエチレンテレフタレート)の年間伸び率は、現在10%にも達している。包装プラスチックの生産量も増加する。それは、貧しい国では、包装不良により食料の50%が変質しているからである(インドの比率は50%のに対し、英国はわずか23%である)。

現在、プラスチックの年間生産量は3億トンを超え、そのうち800万トンが最終的に海へと流れ込んでいる。このまま海を汚し続ければ、2050年までに海のプラスチックの重量が魚類の重量を上回ると推測される。また、報道によると、3種の海洋生物のうち、1種は海洋ごみに困っており、かつ、90%の海鳥の胃にプラスチックがある。プラスチック包装は最大の端末使用細分市場であり、世界全体のプラスチック使用量の約40%を占めている。世界で毎年使われるレジ袋は5000億枚であるが、その平均使用寿命は15分である。

同様に、科学者の努力に加えて、各国政府がプラスチックゴミの適正処理に対し法的措置を講じれば、この問題が適切に解決されることは期待できる。

強調しなければならないのは、プラスチックが環境に悪影響を与える問題は再生によって解決できず、解決を遅らせるしかできないことである。再生プラスチックの寿命が終わると、再び廃棄物やゴミに変わるからである。新プラスチックまたは再生プラスチックをコンクリートと混合する時に「バーリング加工」を行ったり、建築物、道路建設、水利工事に組み入れた物品を製造したり、またはその他の類似した用途に使ったりするなど、これらの材料が我々の生きている間に再び現れないことを確保するのは、いずれもこの問題を解決する適当な方法である。もう1つの類似した解決方法というは新プラスチックまたは再生プラスチックを焼却し、そのうち、本体のポリマーを気体に転化することである。いずれの場合でも、プラスチックは我々の生活から「消えて」、それ以上我々の自然環境を汚染することはない。

『特集』(第一部と第二部)に掲載された文章は、世界的に有名なポリマー科学者が執筆したもの(うち、一部の文章の引用回数は1万回~5万回で、H指数は50回~100回の範囲にある)である。但し、これらの文章はプラスチックごみにより発生した一般的な問題について解決策を提供することができず、プラスチックごみの再生によるプラスチックごみの減量方法を提案したのみである。

これらの文章は独立した2つの出版物に分けられる。(i)ポリマーブレンドおよび複合体の再生(第一部)、および(ii)秩序状態のポリマーの再生(第二部)。こうして分けたのは、この2組の材料にはいくつかの特定な特徴があるからである。このため、これらの再生方法が大きく異なる。これと関連する良い例としては、グラスファイバー強化ポリマー複合体にグラスファイバーが存在することである(最高比率30%)。

https://doi.org/10.1016/j.aiepr.2021.04.002
OPEN ACCESS – EDITORIAL
Volume 4, Issue 2 Pages 52
April 2021
社説:ポリマーブレンドおよび複合体の再生
Jianjun Li

プラスチックは他の材料にない低単価、バランスの取れた性能といったメリットがあるため、現在非常に幅広く活用されている。但し、これに伴って、処理が難しく、分解できないプラスチックごみが大量に発生したという問題が生じた。これらのごみは、消費された後、適当な場所に放置されないことが多く、環境に大きなプレッシャーを与えている。国連環境計画のある報告によると、全世界のプラスチック製品の生産量は90億トンで、そのうち、僅か9%が再生に使われているという。

ある中国の諺にあるように、「トラの首の鈴はつないだ人でないとほどけない」。問題を解決するために自ら解決策を探さなければならないことを意味する。周知のように、熱可塑性プラスチックは、金属やセラミックに比べ、より低い温度(300°C以下)で繰り返し成形できるという明らかなメリットがある。このため、新しいものであろうと、中古のものであろうと、廃棄されたものであろうと、適切に処理をすれば、いずれも再生再利用ができる。とりわけ、安全、高効率、環境にやさしい方法で廃プラスチックを再生する時に、我々は炭素排出を減らし、炭素排出ピークアウトおよびカーボンニュートラルを実現する強力な策略を制定する。これによってプラスチックは有望な未来を迎えるだろう。

産業の視点から見れば、リアンバーゼル、ダウジョーンズ、サウジ基礎工業会社、バスフおよびアディダス、ナイキ、イケア、コカコーラ、ペプシ、ユニリーバ、PG、ダノン、ネスレおよびその他の大手企業は、プラスチック再生技術を開発したり、再生プラスチック製品を仕入れている。政策の視点から見れば、アメリカでは2004年にグリーンエレクトロニクス製品の評価ツールであるEPEATが発表され、再生プラスチックの使用が明確に求められた。2019年、『欧州グリーンディール』は産業をクリーンな循環型経済へと転換させることを提唱した。たとえば、2030年までにEUのすべての製品について、再利用可能または再生可能なプラスチックパッケージを使用することは、カーボンニュートラルの目標を2050年までに達成するのに役立つだろう。20209月、中国の習近平国家主席は国連総会で、2030年までに炭素排出ピークアウトを実現し、2060年までにカーボンニュートラルを実現するために強力な政策を講じることを明らかにした。最大のプラスチック生産国と消費国として、中国は如何に廃プラスチックを管理、利用と再生するというチャレンジに直面している。これまで、中国政府と企業は、プラスチックのグリーン再生が持続可能な開発にどのような意味を持つのかを終始理解している。金発科技股份有限公司は積極的に国の政策を徹底し、そしてこの事業に身を投じる。

実際、金発科技股份有限公司は2003年から製品の製造原料として再生プラスチックを使用し始めた。金発公司は過去15年間で合計120トン以上の良質な再生プラスチックを生産し、パートナーに協力して約150万トンの炭素排出を削減した。現在、金発公司は年間28.5万トンの再生プラスチックを生産する能力を有し、中には良質な包装用再生ポリエチレン、自動車用再生ポリプロピレンとポリアミド、高性能な再生ポリカーボネートと合金、および再生難燃型高耐衝撃ポリスチレン(HIPS)が含まれる。2020年、金発公司の再生プラスチックの売上高は30%伸びた。今後、金発公司は広東省清遠市と江蘇省徐州市にある再生プラスチックの生産拠点をより一層グレードアップさせ、そして2025年までに年間100万トンの生産能力を達成するよう取り組んでいる。

『特集』の文章はStoyko Fakirov教授の主導のもとで投稿されたものである。中にはプラスチックと複合体の再生分野における最新の成果と研究の進捗について紹介した。読者はプラスチック業界の持続可能な「炭素チェーン」の構築を通じて、これらの文章から収穫を得られるに違いない。今回のチャンスを借りて、Stoyko Fakirov教授に対し心よりお祝いを申し上げたい。

https://doi.org/10.1016/j.aiepr.2021.04.003
OPEN ACCESS –REVIEW ARTICLE
Volume 4, Issue 2 Pages 53-69
April 2021
ポリマーブレンドの再生
Andrea Dorigato

過去数十年の間、カスタム属性を有する多機能材料に対する絶え間ない需要の増加は、共に新しい商用ポリマーブレンドの開発を促進した。これらの混合物は従来の基材に比べ、優れた物理的性質を有し、かつ新しいプラスチックを合成するのに経済的な優位性を有する。プラスチック廃棄物の管理における環境問題の逓増、分選技術に存在する難題および大半のポリマー間の限られた化学適合性のため、再生段階について考える時、ポリマーブレンドの技術的な潜在力はよく利用されていない場合が多い。場合によっては、再生混合物に増容剤を添加しても、その性質を保持および/または調整する満足できる解決方法にならない。

本総説の目的は、ポリマーブレンドの再生可能性について批判的に分析することにある。プラスチックの再生問題と定義について紹介する章に続き、ポリマーブレンドの物理的な特性の一部の基本的な概念について述べた。本総説の第3章では、ポリマーブレンドの機械的再生について分析を行い、そして適合する、および適合しないポリマーブレンドに運用される再生技術について一般的な区分をした。この章では、未選別廃棄物由来の混和プラスチックの再生可能性、およびポリマーブレンドの形態と熱機械的特性に対する二次熱処理の影響についても分析した。現代社会におけるバイオプラスチックの重要性が増していることを考え、本総説の第4章では、主にバイオプラスチックブレンドを含む機械的および化学的再生プロセス、特にポリ乳酸(PLA)と熱可塑性澱粉(TPS)をベースにしたブレンドについて紹介した。ポリマーブレンドに運用された再生技術の重要ポイントと将来についての展望は、最後の節でまとめた。

https://doi.org/10.1016/j.aiepr.2021.02.005
OPEN ACCESS –REVIEW ARTICLE
Volume 4, Issue 2 Pages 70-81
April 2021
再生炭素繊維に基づくポリマー複合体の多機能性:総説
D. May, C. Goergen, K. Friedrich

炭素繊維強化ポリマー(CFRP)は優れた軽量化の潜在力を有し、現代エネルギーおよび交通の面において鍵となる役割を果たすことができる。但し、炭素繊維の生産はエネルギー消耗が高く、コストが高い生産であり、同時に通常に使われる製造技術の廃品率が高く、破損部品の修復率は依然として限られている。そのため、受け入れられる費用収益と持続可能性を達成するために、全体的な再生方式が急務となっている。再生が挑戦的であるのは、真の再生、即ち、高性能複合体の中の繊維を再利用することで、比較的大きい繊維の長さを維持し、そして正確な繊維の定方向を保持する必要がある。これは繊維属性の最適な利用可能性と再生コストを可能な限り低くすることとのバランスを取る必要がある。このため、本論文では、廃棄物から炭素繊維を回収し、それらを新しいCFRP成分に加工する技術の概要についてだけでなく、プロセスまたは材料に関連する多機能を実現するために、再生炭素繊維をベースにした半製品の特定の性質を利用する異なる方法についても紹介した。これには準塑性変形特性(深絞りまたは曲げ糸束の敷設を実現する)を含み、繊維透過現象の低減、過飽和不織布の強力樹脂含浸および高エネルギー吸収を通じて表面品質を改善した。

https://doi.org/10.1016/j.aiepr.2021.01.001
OPEN ACCESS –RESEARCH ARTICLE
Volume 4, Issue 2 Pages 82-92
April 2021
再生炭素繊維/エポキシ複合体の評価:熱重量分析法による熱分解と原生炭素繊維の熱分解特性についての研究
Sonja E. Adler, Barbara E.Güttler, Lubov Bendler, Klaus Friedrich

炭素繊維の再生は閉ループ経済における炭素繊維再利用の重要なステップである。新しい高性能応用を探る時、回収炭素繊維の機械的特性、繊維表面純度および熱安定性の評価がポイントとなる。本出版物は、熱重量分析法(TGA)および走査電子顕微鏡法(SEM)を採用し、熱分解、原生炭素繊維自体および複合材料における熱安定性について研究したことを紹介した。

市販のある熱分解織物(長さは変わらない)を原生高靱性炭素繊維のように加工処理することで、短く切断されていない繊維の再生可能性について研究し、そしてそれがより一層グレードダウンして回収しない場合に再生できることを実証した。原生と熱分解繊維の同じ成分について製造した。これらの複合材料と、加熱速度に伴う繊維の熱分解特性、および異なる雰囲気の中の温度範囲について比較した。データをさらに分析するために、動力学的研究を行った。また、光学顕微鏡法とSEMイメージング法を使ってサンプル品について可視化と研究を行った。

熱分解炭素繊維の熱分解特性における低温へのわずかな移行について観察した。TGA測定ではベースマテリアル分解は類似していたが、スラリー欠失と繊維適合性が低いため、より高質量比の樹脂とより高い活性化エネルギー値を算出した。炭素繊維成分の分解は最大の変化幅を示した。これは炭素繊維の結晶構造により引き起こされたものであると考えられるが、検証を行うには追加作業が必要である。

https://doi.org/10.1016/j.aiepr.2021.03.003
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